過払い金請求 故人

故人の過払い金は本人以外も請求できる?

過払い金請求 故人

過払い金請求とは、払い過ぎた利息の返還を請求することです。
では、お金を借りて利息を支払っていた人が亡くなってしまった場合には、家族など残された人には過払い金を請求する権利はないのでしょうか?
実は、過払い金は相続財産という扱いになるため、相続人であれば故人に代わり返還請求をすることができます。
故人の過払い金請求は、自分が借金をしたものではないため、請求するのは手続きが面倒ではないかと不安を感じる人もいるかもしれません。
しかし、故人の過払い金請求であっても基本的な流れは通常の過払い金請求と同じです(引き直し計算→返還請求→返還交渉→合意・和解→返還)。
このページでは、故人の借金で発生した過払い金請求の方法や注意点について紹介します。

 

故人の過払い金請求に必要な書類とは

故人の過払い金請求は、通常の過払い金請求と同じ流れですが、用意する書類は多くなります。
まず、故人の出生時から亡くなった時まで、全てがわかる戸籍が必要です。
書類としては戸籍謄本や除籍謄本、改製原戸籍などです。
故人の戸籍だけでなく、過払い金請求をする人が法定相続人であることを示す必要もあるので、相続人の戸籍も必要です。
もし相続人が複数いる場合には、全ての人の戸籍が必要になります。
また、遺言書によって故人が財産の分割割合などを指定している場合には、この遺言書も必要な書類となります。
多くの書類を用意する必要があるので面倒と感じるかもしれませんが、ほとんどの書類が司法書士や弁護士に依頼をすれば手配してもらうことができます。

 

故人の過払い金を請求する時の注意点

過払い金請求には時効がある

まず注意していただきたい点が、過払い背金請求には10年間の時効があるという点です。
請求せずに放置していると、過払い金を取り戻せなくなる可能性があるので、できるだけ早く請求することをおすすめします。
過払い金の請求の時効については、こちらのページで詳しく解説しています。
気になる方は、是非ご覧ください。

 

推定計算が必要なケースが多い

過払い金請求をするときには、まず対象となっている金融機関に取引履歴の開示を求めます。
ただ、古い取引となると全ての取引履歴が保存されていないことが多いようです。
取引履歴が確認できないのでは、過払い金の計算をすることができません。
この場合には、推定計算をして過払い金請求をすることになるのですが、証拠となる確かな書類、つまり契約書や取引明細書、口座の取引履歴が必要です。
数年前の取引となると一部の書類が紛失していることも多いでしょう。
個人で古い資料や断片的な資料から取引を推定し、過払い金の金額を計算をするのは困難です。
従って、できれば専門家に依頼をすることをおすすめします。

 

争点が難しいケースが多い

故人の過払い金請求では、争点が多く発生する可能性があります。
特に取引期間が長い場合にはこの傾向が強いようです。
長く取引をしていると中断期間の存在や契約の切り替え、貸金業者の倒産による債権譲渡などが発生しているケースが多くあります。
様々な争点が発生することにより、裁判になっても簡単には解決できず、過払い金を返還してもらうには時間がかかります。
故人の過払い金請求では、本人から事実確認ができないことも争点を難しくする原因となるようです。
取引が長期間になればなるほど、返還までには時間がかかると考えておきましょう。

 

過払い金が高額になるケースが多い

高齢者の借入で発生する過払い金は、高額になるケースが多いと言われています。
その理由として、高齢者は年金だけで返済をしているケースがあり、少額の借入を何度も繰り返し長期取引をしていることが多いからです。
長期間の借入ほど多くの利息を支払うことになるため、過払い金も高額となります。
また、貸金業者が高金利で融資をしていた80年代や90年代から借り入れをしているケースが多く、これも高額な過払い金が発生する理由です。
ここで注意をしたいのが、もしも過払い金が140万円を超える案件は、司法書士では対応できないということです。
140万円を超える高額の過払い金請求は、弁護士に依頼する必要があります。

 

単純承認すると負債も相続することになる

相続には単純承認、限定承認があります。
単純承認とは、特別な条件も付けず財産を相続することで、故人の過払い金請求をした場合には、単純承認をしたことになります。
もし、個人に負債がある場合は、その負債も相続財産として受け継ぐことになるので注意しましょう。
まずは、過払い金があるかどうかの確認だけでなく、負債の有無もしっかりと確認してから過払い金請求を行いたいものです。
他に借金があり、過払い金と差し引いてマイナスになるようであれば過払い金請求をせず、相続放棄をすることもできます。
ただ、相続放棄の期間は死後3ヶ月以内なので、この点にも注意が必要です。

 

未完済で亡くなった場合は法定利率内取引の確認が必要

過払い金請求を考えている人の多くが、法定利率以上で借り入れをしていたキャッシングなどの取引履歴をチェックするのではないでしょうか?
しかし、未完済の借金がある場合には、法定利率内の取引であっても確認することが大切です。
法定利率内での借入は過払い金請求の対象外ですが、先に説明したように財産を相続する場合には未完済の借金も一緒に相続することになります。
クレジットカードなどでの借入も、相続をすればショッピング枠での借入であっても相続人に返済の義務が生じます。
法定利率内のショッピング枠などもすべての借入をチェックしたうえで、過払い金請求をするのかを決める必要があります。

 

自身の負債と相殺される可能性がある

相続人が、過払い金返還をする対象の業者と取引をしている場合にも、注意点があります。
この場合は、「相続分の過払い金請求であること」を明示することが大切です。
貸金業者と取引中に過払い金を請求すると、自身の借入金と故人の過払い金を差し引きして解決されてしまうことがあります。
自分の借金が減るのだから問題ないと思う人もいるかもしれません。
しかし、自身の借入を減らすという行為が債務整理として取り扱われる可能性があります。
債務整理をすると信用情報に傷がつき、ブラックリストに登録された状態となってしまいます。
今後の借入の際の審査に影響を与えないためにも、この点には注意をして請求をしましょう。

 

相続人が複数いる場合の過払い金請求について

返還される過払い金の割合は?

故人の過払い金請求をすれば、全ての過払い金を請求者が独り占めできると考えている人もいるかもしれません。
しかし、財産の相続人が複数いる場合には、過払い金もその相続人の人数分で分割取得することになります。
例えば、過払い金が100万円あり、相続人が5人いる場合、取得できるのは5分の1の20万円ということになります。
請求できるのは自分の相続分だけということです。
そのため、全ての過払い金請求をする場合には、故人の財産を相続する相続人全ての戸籍なども用意する必要があります。
他の相続人が相続放棄をしない限りは、自分だけのものにはならないと考えておきましょう。

 

時効の中断措置は過払い金全額に適用される?

過払い金請求の時効は、取引が終了してから10年となっているのですが、この消滅時効を引き延ばすことができます。
それが時効中断措置で、さらに10年時効を延ばすことができます。
ただ、相続人が複数の場合には、請求した自分の相続分しか時効中断措置をとることができず、過払い金全額に適用されるわけではありません。
そのため、複数の相続人がいるケースでは、過払い金全額に適用さるには相続人全員が中断措置をとる必要があります。
または、過払い金を他の相続人から譲渡してもらって単独相続にすることで、時効中断措置をとることもできます。

 

1人で請求するべき?相続人全員で請求するべき?

故人の過払い金請求の方法には
・単独で請求する
・相続人全員で請求する
・相続人1人が債権譲渡を受けて請求する
以上の方法があります。

 

単独で請求をする場合には、自分の判断で請求ができ、相続人との精算や相談なども必要ありません。
ただ、この場合は自分の相続分しか請求できませんし、全体の時効を中断させることができません。
相続人全員で請求する場合には、1回の請求によって発生している過払い金全てを回収できるのですが、相続人全員に協力してもらう必要があります。
相続人1人が債権譲渡を受けて請求する方法は、他の相続人からの協力は必要ですが、1回の請求で全額回収することも可能です。
それぞれにメリット・デメリットがありますが、総合的に考えて相続人1人での請求方法がおすすめです。

 

請求に必要な書類は増える?

法定相続分の過払い金は、法定相続人の範囲が分かる戸籍があれば返還請求できます。
しかし、相続人同士で協議した結果、債権譲渡を受けて請求する場合には、法定相続分と異なる割合で取得することになります。
このケースでは、債権譲渡合意書が必要になりますし、遺産分割協議によって相続人を決めた場合には、遺産分割協議書が必要になります。
また、譲渡をした相続人からの債権譲渡通知なども必要になることがあり、必要な書類も増えることになります。
ただ、このような書類は、司法書士や弁護士事務所に依頼をすれば作成をしてくれます。